を大事にする救急

​幅広い診療能力を身につける

総合救急部にあって内科を専門とする先生の存在はとても貴重です。なぜ内科医としての道を進むようになったのでしょうか?

 

 

― わたしは学生時代は実は外科医になりたいと考えていました。学生時代に外科医になりたいと考えたのは、目標とする医師像がなかった中で、臨床実習が始まり、内科では治らない患者を診ることが多く、外科では手術で治る患者を診ることが多かったことが要因でした。今振り返ると安易な考えでしたね。しかし、初期研修の初めに神経内科をローテしたことで、考えが変わりました。当時の指導医の優れた臨床能力に憧れ、彼に指導を受け、内科医としての能力を見込まれたことをきっかけに、内科に進むことを決意しました。

 初期研修終了後、1つの内科にこだわらず、幅広い臨床能力を身につけるため、諏訪中央病院での後期研修を選びました。そこでは、内科のどの医師も総合診療をしており、疾患だけでなく、患者背景も踏まえた診療をしていました。総合診療の魅力的な点は、私のように手技が得意でない人間でも、多くのシチュエーションに対応できる点ですね。これからの時代、様々なプロブレムを抱えた高齢者の診療は避けて通れない道です。受診・入院の契機となる疾患以外にも対応できるため、患者さんに感謝されることも多いです。3年間の後期研修で自分にもそのような診療ができる力が身についたものと考えています。

医員 藤井真

総合救急部 医員

広島大学卒。広島市立安佐市民病院で初期研修後、諏訪中央病院内科にて後期研修。平成31年4月より現職。

趣味

映画鑑賞、サッカー

救急+内科医

総合内科の研鑽を積んだあとに北米型スタイルの救急を経験することで、自分の中に起きた変化があれば教えてください。

 

― 発症間もないCPAの症例が搬送されてきた際に、エコーで両側にある多量の胸水を感知し、すぐさま両側から胸腔ドレーンが留置された事例がありました。両側胸水を認知しても、一般の医師であると、すぐにその行動には移せないと思います。救命センターではありませんが、救急専門医の先生が3名いてくださることで、超重症症例にも対応できることが大きいと思います。

 

 また、検査へのアクセスがとても良いことは、ここの救急外来の魅力の1つです。検査へのアクセスが良いと感じるのは特にMRIですね。以前いた病院ではよほどの理由をつけない限り、緊急でMRIはできませんでした。また、救急症例であっても、こちらが必要と判断したら日中であれば検査室にエコーをお願いできるという点もあります。

 そしてやはり、(救急外来で従事することで)外傷診療の経験値、知識量は増えていると思います。苦手意識も徐々に薄らいではいます(笑)。

 

 また、今はシフト制でコールがない生活をしているので、趣味に使える時間が多くなっています。読書をし、仕事に役立つ知識も得られるようになっています。そのような救急外来勤務による変化も実感していますが、得意分野である病棟で働きたいという思いも日に日に強くなっています。病棟の運営に関するアイディアもいくつか浮かんでいます。まずは、救急外来業務に従事しつつ、病棟で働く構想を練って行こうと考えています。

​患者さんへの向き合い方

― 総合診療の領域ではよく言われていることですが、「病を診るのではなく、1人の人として患者さんを診る」ということは常に意識しています。前述したように、高齢の患者さんでは多岐にわたるプロブレムを抱えていることが多く、また、社会的に複雑な背景を持っている患者さんもいらっしゃいます。それらも踏まえて一人の患者さんとして、診療を進めることを常に心がけています。

 

 また、患者さんに「今何が起きているのか」ということを「疾患名」ではなく、「病態」として理解できるよう努力しています。

 

 診断基準に照らし合わせて、「疾患名」をつけることができても、「病態」を自分の頭で理解できていないと患者さんに病状を丁寧に説明することができません。あとは受診動機、解釈モデルを聞き出すことですね。

 

 救急外来では診断がつかないことも多くありますが、それらを聞き出すことができれば、診断をつけることができなくても、ある程度不安を取り除くことができます。

私のワークライフ

― 病棟を主に診療していきたいと考えていますが、これからの時代、主治医制で24時間待機となることは難しいと考えます。そのため、チームで個々の能力を補っていくような診療体制を考えていきたいと思います。夜間緊急呼び出しの待機は必要と考えますが、待機であっても呼び出されることは苦痛となってしまうので、できる限り急変を少なくする診療体制を計画しています。それは、患者さんにとっても、病棟で働くコメディカルにとってもプラスに働くものとなるはずです。


 将来的には、自分と同じ志をもつホスピタリストを育てていきたいと考えています。これからの日本の高齢化社会には、高齢者のあらゆる問題に対応できる総合診療医が必要不可欠です。日本のどこに行っても活躍できるホスピタリストを育てる体制を作ることが、現段階で個人的な最終目標です。もちろん、その前に自身が指導医としてふさわしい医師に成長しなくてはなりません。どんな患者さんでも断ることなく、また、他科からのコンサルトに気軽に応じれる総合医になれるようこれからも研鑽していきます。

 地域医療に貢献するために同じ志を持った仲間は多ければ多いほどいいですね。医療現場での仕事は、自分一人では成立しない仕事ばかりですから。チームで助け合い、お互いに休みを作ることで、各々のプライベートの時間も大切にできればと考えます。今は、救急外来で働き、日々救急科の先生に新しい知識を教えていただいています。病棟を持った際は、救急外来から早い段階で声をかけていただき、救急外来の患者さんの滞在時間を短くできればと考えています。

 
総合救急部部長 安藤裕貴
部長 松窪将平
医長 丹野翔五
社会法人杏嶺会 一宮西病院 ​総合救急部
​(代表)0586-48-0077