を大事にする救急

ホットラインの音が怖かった

医師を志したきっかけをお話しいただけますか?

 

― 医師を目指したきっかけは、小さい頃に病気を治してもらったとか、テレビドラマで憧れたからとか、よくあるそんな気高い理由ではないんです。自分は4人兄弟の末っ子で少し年の離れた姉と兄が3人います。姉は看護師、兄2人は臨床工学技士で、普段から医療系テレビドラマと実際の臨床の違いとか、たくさん医療系のことをよく話していたんですね。でも当時高校生の自分には何のことだかさっぱりで、少しでもその話の輪に加わりたい、医療系の仕事がしたいと思って医師になりました。今では兄弟同士、お互いの分野の話を教えたり教えてもらったりと、情報交換ができています。

 医師になって初めの頃は当直がすごく嫌いでした。救急隊からのホットラインの音が怖くて、毎回当直の前には気分が悪くなっていたのを今でも覚えています。ただ自分は周囲の環境に恵まれていましたね。2年間の初期研修を通じて「こういうドクターになりたい」というモデルケースになる先生方にたくさん出会えました。特に印象的だったのが救急の先生方との出会いでした。「最短の診断にたどり着くために自分の技量が問われていること」、「診断と治療の結果がすぐに現れること」が救急の面白いところでもあり、難しいところでもあると思います。いかに冷静に、いかに素早く判断を下せるか。医師としての可能性を広げ、一人でも多くの命を救いたいと思って救急の世界に飛び込んできました。

救急科専攻医 松井大知

総合救急部 救急科専攻医

札幌医科大学卒。勤医協中央病院で初期研修後、一宮西病院にて救急科専攻研修開始。令和2年4月より現職。

​大阪府生まれ、神奈川県育ち

​経験を目に見えるかたちに

救急医を目指す上で苦労したことや努力したことがあれば教えてください。

― 研修医の最初の頃はスキマ時間があれば救急科のカルテをチェックしていました。どんな患者が来ているか、どんな検査をしているか、どんな対応がされているか、とにかく人のを見て自分の引き出しを作っていましたね。あとは今でも作っているんですが、「〇〇で学んだことシリーズ」を毎日evernoteにメモしています。ERで学んだこと、当直で学んだこと、病棟で学んだこと…、自分の経験として目に見えるよう形に残して今後の診療に役立てるようにしています。

 自分は患者さんと同じ視点に立つことを1つ大切にしています。診療する前に最初の一言は「大変でしたね」と声をかけ、患者さんや家族と話をする際は腰を落として同じ目線で話す。前職場のER指導医の教えです。我々は1日にたくさんの患者さんや家族を対応しており、そのうちの1つとして流れ作業のようになりがちです。ただ患者さん家族からしたら多かれ少なかれ非日常的なイベントなわけで、まずは挨拶として気遣いの言葉をかけるのがマナーであると教わりました。毎回できているわけではありませんが、そういう心がけ1つで円滑に診療が進んでいくことがあるんです。

Noと聞いたことがありません

​​ーー ここに来て初めは環境の違いにとても驚きました。救急科では基本すべてのwalk in、救急車の初療をしますが、入院が必要な患者さんの場合、その科の先生方にコンサルトをして入院の依頼をします。ここは診療科ごとの垣根が想像以上に低く、非常にコンサルトがしやすい環境にあってとても驚きました。また先生方のフットワークも軽く、まずNoと聞いたことがありません。貪欲に医療に対して向き合っているからこその姿勢なんだと感じます。


 また患者層や疾患層もだいぶ異なっている気がします。小児から高齢者までの転倒、脱臼、骨折などにより固定や創傷処置が必要な外傷系のほか、洗剤が目に入ったなどの化学眼損傷、猫やムカデによる動物咬傷などのマイナー領域も非常に多い印象です。以前の職場では小児科や産婦人科、皮膚科、耳鼻科、眼科などのマイナー科は外病院での研修であったため、不慣れなところもあり最初は非常に苦労しました。今でもまだまだ悩むことは多いですが、少しずつできることを増やして自分の経験を上げていきたいです。


 挑戦していることというか、ゆくゆくはダブルボードが持てたらと思っています。今はカテーテル治療にも興味があり、将来的には救急科と循環器内科のダブルボード取得が1つの目標です。救急科で学んだ知識や経験をその場だけに留めず、別の形での貢献ができるよう、今は一歩ずつ前進あるのみです。

― 前職場では多方面で医学教育が充実しており、初期研修医によるwalk in外来研修のほか、見逃し症例から学ぶ臨床推論カンファレンスが定期開催されていました。これは先輩ドクターが実際に見逃してしまった症例を振り返り、どのタイミングでどうすれば見逃しを防げたのかというのを振り返るので非常に興味深いです。またmini-CEXといい、救急外来に患者が来たという設定で模擬患者を相手に診察を行い、現時点での臨床推論の到達度を評価する試験もありました。診療にある程度慣れた研修医2年目の時に受けたのですが、診療そのものを指導医に見られることはあまりないですし、その場でタイムリーにフィードバックを受け今後の学習計画を立案できるのは非常に良い機会でした。そういったことを経て、診療に対するあらゆる土台の「型」のようなものを研修医のうちに経験することができたのは非常にラッキーだったと思います。一定の「型」を学ぶだけでカルテの書き方や臨床推論能力、その思考過程が身につきますし、それを経ることで応用の利く「型破り」な診療スタイルが身につきますしね。一宮西病院総合救急部でもそのような形を作れたらいいなと思いつつ、まずは自分が経験し学んだ教えをここの研修医にも同じように伝えてあげたいと思っています。

 
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CEO

安藤裕貴

​救急科・救急総合診療科部長

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CEDO

丹野翔五

​救急科医長

CIO, CCO

竹之内盛志

救急総合診療科医員

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Resident

松井大知

​救急科専攻医

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COO, CTO

松窪将平

救急科副部長

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CMO

白神真乃

​救急科医員

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​Education Attendant

藤井真

​救急総合診療科医員

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Resident

麥倉慎

​救急科専攻医

社会法人杏嶺会 一宮西病院 ​総合救急部
​(代表)0586-48-0077